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亜塩素酸水とその製剤の測り方

01はじめに

亜塩素酸水の主たる有効成分であるクロラス酸(亜塩素酸:HClO₂)は、米国 USDA(米国農務省) や FDA (米国食品医薬品局)から、Secondary direct food additive (二次的食品添加物)として、その使用が許可されており、Codex Committee on Food Additives(食品添加物に関するコーデックス委員会) では、食品添加物:加工助剤に分類されております。

⼜、JECFA(合同食品添加物専門家会議)によりますと、Acidified Sodium Chlorite Solution(ASC:酸性化亜塩素酸ナトリウム)の主活性成分はクロラス酸 (亜塩素酸:HClO₂)であると記載されておりますが、連邦規則集21CFR 173.325 を改正する際に、ASC の使用が適用される食品、及び、ASC の使用方法(噴霧、浸漬等)、並びに、ASC の濃度(亜塩素酸ナトリウムの濃度)やpH(2.3~2.9)等が規定され、用時調整(必要に応じて使用時に調整)が条件となり、誰もが簡単に、かつ、どこででも利用できるというわけではなくなりました。そこで、弊社と致しましては、このクロラス酸(亜塩素酸:HClO₂)を水溶液(H++e-+H₂O⇔[H₃O]+)という環境下で起こる化学平衡 (HClO₂⇄ H++ClO₂-)に基づくサイクル反応 ( 図Ⅰ) を利用することによって、持ち運びできる状態で安定させ、しかも、この状態をより長く持続(維持)することに成功し、その製造技術はすでに特許化(国際公開番号 WO2008/026607 A1)されております。尚、このクロラス酸は、日本では「亜塩素酸水」として、2013 年 2月 1 日に新規食品添加物の殺菌料として指定され、2016 年1 月15 日付で第二類医薬品製造販売許可を取得しています。

図Ⅰ 液中にクロラス酸(亜塩素酸:HClO2)を維持させているサイクル反応

亜塩素酸水及びその製品類は、2 種類の濃度で管理していただいています。一つ目は、亜塩素酸水及びその製品類を安全に、かつ、安心して使用して頂くための指標であり、強酸性条件下、塩素酸化物が持つ酸化力で、(ヨウ化物イオンから)生成されるヨウ素の量をチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定することにより、総塩素量 (≒Total Chlorine ; TC) を測定することができるヨウ素還元滴定法を利用し、この方法で得られた値に、クロラス酸 ( 亜塩素酸:HClO₂=68.46) の分子量を乗じることによって、『含量 亜塩素酸 (HClO₂=68.46) として』を割り出しています。二つ目には、亜塩素酸水及びその 製品類の効果を確実に享受していただくための指標であり、かつ、このクロラス酸(亜塩素酸:HClO₂)の主たる活性分子種であります塩素過酸化ラジカル(ClOO・)の酸化力(≒殺菌力)を管理する為の指標でもあります。尚、この濃度は比色法(DPD法)によって得られる値を、次亜塩素酸ナトリウムの塩素(Cl=35.45)の分子量を乗じることによって、『遊離塩素濃度 (Cl=35.45 として )』(Free available chlorine ; FAC)を割り出しています。( 表 Ⅰ)

表Ⅰ亜塩素酸水や亜塩素酸水製剤の各種測定項目とその内容について

測定項目 含量 亜塩素酸(HClO₂=68.46)として 遊離塩素濃度(Cl=35.45として)
内容 総塩素量:安全に使用していただくための指標 酸化力:有効性に利用していただくための指標

02遊離塩素濃度(Cl=35.45として)の測定方法

<遊離塩素濃度 (Cl=35.45 として )>は、水道法施行規則 別表第 3 吸光光度法に準拠し、N,N-ジエチル -p- フェニレンジアミン硫酸塩 1.0g を乳鉢で粉砕し、これに無水硫酸ナトリウム 24g を加え、結晶粒を粉砕しない程度に均一に混和したものを “DPD 指示薬” として用います。尚、標準塩素水には、次亜塩素酸ナトリウム溶液(アルカリ性)を使用し、この次亜塩素酸ナトリウム溶液が持つ活性分子種(次亜塩素酸ナトリウムの場合では、アルカリ性域ではR・=ClO・、弱酸性域では、R・=HO・、酸性域では、H₂O₂、亜塩素酸水や亜塩素酸水製剤の場合では、R・=ClOO・)によって、DPD試薬を反応させ、DPDラジカルによる共鳴状態にすることで、桃色に発色させます。この時の吸光度を、紫外可視吸光度計(510nm)を用いて測定し、この吸光度から、予め作成しておいた検量線を基に亜塩素酸水やその製剤が持つ“酸化力”を、塩素(Cl=35.45)の分子量を乗じることで割り出し、この値を「遊離塩素濃度 (Cl=35.45 として )」として算出していただきます。

反応式

計算方法

遊離塩素濃度(Cl=35.45として)[mg /L]=吸光度(λ=510 nm)/検量線の傾き※×希釈倍率

※検量線の作成方法は、定量用 50mg/L 標準塩素水(注1)を水に加えて1mg/L、2mg/L、5mg/L、10mg/Lをそれぞれ9.5mLに調製し標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液に0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH6.5 )(注2)を0.5mL加え次いでDPD試薬(注5)を約0.1g加え混和した後、紫外可視吸光度計により試験を行い標準溶液の吸光度(510nm)から検量線を作成し、試料溶液の吸光度及び検量線から遊離塩素濃度(Cl=35.45として)を測定します。

(注1) 定量用50mg/L 標準塩素水
有効塩素濃度約5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に硫酸(1→5)を滴下して発生した塩素ガスを水に吸収させて塩素水を調製する。この塩素水100mLをフラスコにとりヨウ化カリウム1gと硫酸(1→5)を加え0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液を褐色が淡黄色になるまで加え次いで(1→100)でんぷん液5mLを加えここに生じた青色が消えるまで直ちに滴定します。
滴定に要した0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の重量から塩素水に含まれる有効塩素の量(mg/L)を算定します。
その上で有効塩素濃度を測定した塩素水を約50mg/Lになるように水で薄めこれを標準塩素水とします。

(式)
試験条件
厚生労働省 告示三百十八号 残留塩素の検査方法に準じる
有効塩素(mg/L)=3.545×g×f×1000/検水(mL)
f:0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液のファクター
g:0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の滴定量(mL)

(注2) 0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH6.5 )
リン酸二水素カリウム溶液(0.2mol/L)(注3)100mL及び水酸化ナトリウム溶液(0.2mol/L)(注4)35.4mLに混合した後、これに1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(1水塩)0.13gを溶かした溶液です。
(注3)リン酸二水素カリウム溶液(0.2mol/L)
リン酸二水素カリウム27.22gを水に溶かして1Lにした溶液です。
(注4)水酸化ナトリウム溶液(0.2mol/L)
水酸化ナトリウム8.00gを水に溶かして1Lにした溶液です。
(注5)DPD試薬
N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩1.0gを乳鉢中で粉砕し、これに無水硫酸ナトリウム24gを加え、結晶粒を粉砕しない程度に混和した粉末です。

03含量亜塩素酸(HClO₂=68.46 )としての測定方法

< 含量 亜塩素酸 (HClO₂=68.46 ) として>
食品添加物公定書 第 9 版 亜塩素酸水の定量方法に準拠し、硫酸溶液で強酸性条件下に調整した後、過剰量のヨウ化カリウム(KI)を加えて、酸化させることによって得られるヨウ素(I₂)の量を、 0.1 mol / L チオ硫酸ナトリウム液で滴定することにより、塩素の総量(TC:総塩素量)を求め、これにクロラス酸(亜塩素酸:HClO₂)の分子量68.46 を乗じた値を、<含量 亜塩素酸(HClO₂=68.46 ) として>として算出していただきます。

計算方法

含量 亜塩素酸(HClO₂=68.46)として(%)=(68.46/4×10-3×0.1×V×f/W)× 100×k
=(1.711×10-3×V×f/W)×100×k

V ;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の滴定量(mL)
f ;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液のファクター
W ;試料溶液の重量(g)
k ;希釈倍数

0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液1mL = 1.711mg HClO₂